法人や個人でも様々な場面でExcelやWord、PowerPointなどのオフィスアプリを使うことでしょう。
オフィスというとMicrosoftのOfficeを思い浮かべるかと思います。WPS OfficeやLibre Officeがある一方で圧倒的なシェアを誇っているMicrosoft Officeは、デファクトスタンダードなポジションでしょう。
そんなOfficeには様々なライセンスがあり形態も複雑化してます。理解不足や認識の錯誤により、コンプライアンス違反、ライセンス違反による損害賠償の発生のリスクもあります。
紳士協定みたいな部分も多く、”やろうと思えばできてしまうケース”もあるので知らずにライセンス違反しないように注意が必要です。
事例
https://www.pref.hokkaido.lg.jp/fs/2/4/0/1/7/1/3/_/20100604-03wadai.pdf
今回は、永続版(買い切り版)ライセンスといわれるOfficeについてまとめます。
まずは、以下の免責をご覧ください。
私自身MSの知識を深めたく勉強、備忘録のためにまとめている節があります。
そのため、情報が誤っていたり不足等ご指摘やアドバイスをいただけますと幸いです。
共用PCのライセンス(デバイスベースライセンス)
法人の規模や業種によって、共用PCでOfficeを使いたい場面があると思います。
それも、同一のローカルユーザ(または、ADユーザ)。
Microsoft365では、複数人で同一PCなおかつ同一ユーザでの利用できるライセンスは存在しません。
ユーザを切り替えて使用する場合であれば、
Microsoft 365 Apps for enterpriseにて共有コンピューターのライセンス認証が利用できます。ただし、プランによって可否が分かれユーザ単位での契約も必要です。
ライセンス管理という点では、サブスクリプション型の方が管理しやすいですが
値上げの嵐で、費用対効果が得られないケースもあり、買い切り版(永続版)ライセンスをスポット的に購入するケースもあるのではないでしょうか。
買い切り版といっても様々なエディションがあります。
また、MSアカウントとの紐付けが必須なものなど…
今回はそういったところを記します。
なお、本記事では、エンド ユーザー向けのパッケージ ソフトウェアとして店舗から、またはマイクロソフトから直接取得した製品を便宜上、パッケージ版、POSA版と記してあります。(プリインストール版との比較のためです。)
永続版(買い切り版)ライセンスの種類
種類 | パッケージ版 ※Office2016以降はPOSA版 |
プリインストール版 |
別称 | ・バンドル版 ・OEM版 |
|
購入方法 | ・Web、店頭 | 購入したPCに付属 |
提供形態 | ・ダウンロード版 ・POSA版 (パッケージ版とほぼ同義) |
・POSA版 |
パッケージ版は、Office2016の販売形態変更を機に廃止となりました。
パッケージ版は、DVD-ROMとプロダクトキーがセットで提供する形態でした。
Offce2016以降は、代わりにPOSA(ポサ)版というカードにプロダクトキーが記載されており、レジを通すとプロダクキーが有効になるという仕組みを利用し販売しております。
販売形態は異なるものの、世間的には同義として扱われています。
POSA版とダウンロード版の提供形態
販売方法 | リテール版 | PIPC版 |
提供形態 | オンライン販売(ダウンロード) | POSAカード |
永続版ライセンスのインストール・再インストール要件
種類 | パッケージ版 | プリインストール版 | |
モデル | 共通 | コンシューマ (個人向け) |
ビジネス |
商用利用権 | ○※2 | ○※2 | ○ |
インストール時に MSアカウント紐付け要否 |
必須 | 必須 | 任意 |
別PCにインストール | ○※1 | 不可 | 不可 |
端末内で複数ユーザ使い分け | ○※1 | ○ | ○ |
再インストールの必要なキー | 紐付けたMSアカウント上でのライセンスキー※3 | POSAカードのプロダクトキー |
表中の可否は、ライセンス規約による可否を示しています。
パッケージ版(POSA版)では、同一ユーザが使用する場合に限り、
複数端末へのインストールが可能です。
1台目の端末を複数人で利用する場合は、原則1台のみインストールが可能です。
コンシューマモデル(個人、家庭向け)について商用利用権が認められているのは
日本のみです。そのためプレインストール版を法人として購入する場合、
管理の面も含め、ビジネス版の購入を推奨します。
紐付けたMSアカウント上でのライセンスキー(インストールキー)とは、
POSAカードのスクラッチを削って表示されるプロダクトキー(MSアカウントと関連づける用のキー)とは異なり、MSアカウントと関連づけることにより生成されるキーのことです。
プリインストール版やビジネス/コンシューマの見分け(POSA版)
Office 2021 Home and BusinessのPOSAカード版を例としております。
種類 | パッケージ版(POSA版) | プリインストール版 | |
モデル | 共通 | ビジネス | コンシューマ |
見分け | 表紙に2台のWindowsPC用と記載 | ・1台のWindowsPC用と記載 ・表紙がオレンジ |
・1台のWindowsPC用と記載 ・表紙がグレー |
永続(買い切り版)ライセンスの種類
種類 | イメージ | 価格(2023年時点) | 詳細(販売ページ) |
2016 Personal | – | 詳細 | |
2019 Academic for Mac | – | – | – |
2019 Access | – | 詳細 | |
2019 Excel | – | 詳細 | |
2019 Home and Business | ¥9,200 (税込) | 詳細 | |
2019 Home and Student | – | – | – |
2019 Outlook | – | 詳細 | |
2019 Personal | ¥8,900 (税込) | 詳細 | |
2019 PowerPoint | – | 詳細 | |
2019 Professional | ¥15,800 (税込) | 詳細 | |
2019 Professional Academic | – | – | – |
2019 Project Standard | – | 詳細 | |
2019 Publisher | – | 詳細 | |
2019 Visio Professional | – | 詳細 | |
2019 Visio Standard | – | 詳細 | |
2019 Word | – | 詳細 | |
PowerPoint 2021 | ¥18,531 (税込) | 詳細 | |
Excel 2021 | ¥18,718 (税込) | 詳細 | |
Excel Home And Student 2021 | – | – | – |
Office Academic 2021 for Mac | ¥39,982 | 詳細 | |
Office Home and Business 2021 | ¥43,980 (税込) | 詳細 | |
Office Home and Student 2021 for Mac | ¥26,982 (税込) | 詳細 | |
Office Personal 2021 | ¥33,930 (税込) | 詳細 | |
Office Professional 2021 | ¥68,085 (税込) | 詳細 | |
Office Professional Academic 2021 | ¥68,085(税込) | 詳細 | |
Office Professional Plus 2021 | – | – | – |
Outlook 2021 | ¥18,531 (税込) | 詳細 | |
Access 2021 | ¥18,531 (税込) | 詳細 | |
PowerPoint Home and Student 2021 | – | – | – |
Project Professional 2021 | ¥181,341(税込) | 詳細 | |
Project Standard 2021 | ¥108,702(税込) | 詳細 | |
Publisher 2021 | ¥18,531(税込) | 詳細 | |
Visio Professional 2021 | ¥98,685 (税込) | 詳細 | |
Visio Standard 2021 | ¥52,344(税込) | 詳細 | |
Word 2021 | ¥18,531 (税込) | 詳細 | |
Word Home and Student 2021 | – | – | – |
おわりに
今回は、買い切り版Officeについてまとめました。
Microsoft365等サブスクであれば、OSバージョンとの互換性や機能更新、セキュリティの担保等サポートが受けられるのが大きなメリットです。
その反面、ランニングコストがかかるので高いです。
企業であれば、共用ユーザで利用する端末等やむを得ない場合には、買い切り版の方が安く済んだりエンドユーザの負担の軽減になるでしょう。その一方で、プロダクトキー等の管理など煩雑さが増します。また、セキュリティの担保や互換性の面でも対応が迫られることが増えるでしょう。
さらに、プリインストール版のビジネスモデルを除き買い切り版の商用利用権があるのは、日本のみです。規約が変更になり商用利用権が認められなくなるリスクもあります。
そのため、基本的にはCSP契約(クラウドソリューションプロバイダー)という
代理店がMicrosoftと直接契約をし、代理店が再販する形で導入から運用までサポートする制度を利用することが推奨されます。CSP契約では、永続版ライセンスを一定期間の利用権が付与され、最低購入数1ライセンスから契約することができます。
個人であれば、よほど最新版を求められない限り買い切り版で問題ないようにも感じます。サポート期限切れだとしても使えます。Office2010ですら、問題なく動きます。
ただし、新旧互換性等が担保されず、レイアウトが崩れたり使えない関数等が出てくることでしょう。
そういう方は、サブスク版の方が良いかもしれませんね。また、使用したい端末が複数台ある方も、ライセンスがユーザに紐づいたサブスク版を選びましょう。
アクティベーションがなく、紳士協定のライセンスも多いためライセンス違反には気を付ける必要があります。訴訟リスクや規制などを防ぐため、しっかりと把握しましょう。
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